PDF履歴書作成サイト比較
最近PDF履歴書を生成するページ履歴書ジェネレーターを作成してみたので、
同じくPDF履歴書を作成する他のサイトの機能などを調査してみました。
他のサイトが実装している有用な機能で自サイトが実装していない機能があるかどうかなどを調べるために調査したもので、
データは一応正確に記述することを心がけてはいますが、何か間違いがあれば知らせていただけると幸いです。
拙作履歴書ジェネレータに○が多いのは、基本的に履歴書ジェネレータが持つ機能を基準に調査項目を決めたことから来ているもので、
これをもって客観的に履歴書ジェネレータに機能がもっとも豊富だとは必ずしもいえないことにご注意ください。
なお、職務経歴書PDF作成サイトを比較するページ
も作成しましたので興味のある方は参考にしてください。
このページついてのご意見、ご質問は tetsuo@ikegawa.jp
までお願いします。 (2012/10/20)
登録の必要性について
PDFの履歴書を作成できるサイトは上の表のように多数ありますが、中にはあらかじめ個人情報を入力して登録しないと、履歴書を
作成できないサイトがあります。登録をすると以下のようなデメリットがあると思われます。
- 個人情報を自分で管理しているのではないサイトに保存することになるので、流出の危険がある。
- 必ずしも履歴書作成に必要のない情報まで入力しなくては履歴書作成ができないことが多い。(例えばメールアドレス等)
- 登録した情報をもとに宣伝のメールを送ってくることが多い。
個人情報(履歴書を作成するための情報)を登録するので、どこのパソコンからでもそのサイトにアクセスすれば履歴書の再編集や再出力ができると
言うメリットもありますが、そのようなことは例えば履歴書データをダウンロードして自分のパソコンに保存する形式のサイトでも
できます。さらに、登録型のサイトの方が出来上がる履歴書の品質が高いとか、入力が簡単だとかいうことも私の調べた限りでは
ありませんでしたので、登録することによって他にメリットのある人でなければ登録型のサイトを利用する必要は無いと思われます。
また、登録の要不要に関わらず、上の表にあるすべてのサイトで料金が必要なところはありませんでしたので、
費用のことは気にする必要はありません。
サーバ上の個人データ
履歴書をWebサイトのサーバー側で作成するには、あらかじめ個人情報を登録させるかどうかに関わらず、
少なくとも一時的には個人情報をWebサーバーに送る必要が有り、
その個人情報をそのサイトでどのように扱うのかということに関しては利用する側には気になるところではないかと思います。
各Webサイト上の記述によれば、履歴書ジェネレーター、履歴書PDF作成メーカー、履歴書メーカーの3者に関しては、
履歴書を作成するのに使用したデータはサーバー側で自動消去する、あるいは手動で消去できることが明記されており、
この点では、記述が正しいとすれば安心だと思われます。
また、りれきしょ君ではデータ保存を指定した場合に個人情報を保存するが、履歴書作成以外には使用しないし、
第三者には漏らすことは無いと明記していますので、これも記述どおりであれば問題は無いと思われます。
むしょく.comに関してはどのように個人情報を扱うのか記述が見つかりませんでした。
またあとの、TAXISITE、ShogotoNet,DomoNet,しごとナビに関しては、個人情報は他人には漏らさないとの
記述がありましたが、一方個人情報は彼ら自身の業務に使用することもあるという
記述がされていましたので、個人情報を他人に利用されるのがどうしても嫌な場合は避けた方が賢明かもしれません。
履歴書データのローカル保存
履歴書は志望動機などを少し変えて何通も作成したい場合が多いですし、過去の履歴書を後で利用して記述を追加して
使うなどといったこともやりたい場合が多いと思います。そのような場合には、作成した履歴書データを保存することが
必要になってくるはずです。そのためにいくつかの履歴書サイトにはデータ保存機能がついています。
上記の表の中でデータ保存機能が見当たらないのは、履歴書PDF作成メーカー、むしょく.com履歴書作成、
ShigotoNet履歴書作成、DomoNet履歴書作成ですが、データ保存機能が無ければ再利用の場合に
データを一から入力し直すというかなり面倒な作業をすることになりますので、
データは一度入力して印刷するだけで、データの再利用は必要が無いという場合以外は
これらのサイトは使用しない方が良いと思われます。
またデータを保存するに当たって、サーバー側に保存する場合と、ローカルのPC側に保存する場合があると思いますが、
サーバーに保存すると、ほかのPCからアクセスするだけでその再利用ができるという利点はあるものの、
自分の管理の及ばないところで個人情報が管理され、故意のデータ漏洩はなくても事故によるデータ流出の
危険もあるという欠点が有りやや不安です。一方、ローカルにデータを保存する場合は、
自分の責任でデータが流出しないように管理でき安全性が高いですが、
再利用の場合にはもう一度システムに読み込ませなければならないので、少しだけ手間がかかると思います。
履歴書ジェネレータと履歴書メーカーではローカルPCにデータを保存する方式をとっていて、TAXISITE、しごとナビ、
りれきしょ君ではサーバー側でデータを保存する方式をとっています。個人情報の安全性を重視するならば
ローカルPCにデータを保存する方式のサイトを使用した方がいいと思われます。
フォント埋め込みについて
PDFが本当にどの環境でも同じように見えるportableなものするには、PDFにフォントを埋めこむ必要がありますが、
フォントを埋めこむと、埋め込んだフォントデータの分だけファイルサイズが大きくなります。
拙作履歴書ジェネレータでは、埋めこんだものと埋めこまないもの両方を提供していますが、他のサイトではいずれかしか
提供しないものが多いようです。
フォントを埋込んでいないPDF履歴書では、例えばWindowsで美しく見えたとしても、MacやLinuxでそのPDFを見た場合、
Windowsで提供しているフォントが存在しないため、代替フォントになってしまい美しくない表示になる場合がある、
場合によっては文章が表示できないことがあることに注意してください。
メールに添付する等PDFファイル自体を送る場合で、相手が自分のOS/PDF Viewerと違うOS/PDF Viewerで履歴書を見る可能性がある場合、
またコンビニなどのPDF印刷を利用するためにデータを持っていくときなどは、フォントを埋め込んだものを使った方が安全です。
一方、自分の家で印刷してしまう場合は、フォントを埋め込まないPDFを使っても、その仕上がりを確認することができるので、
問題は無いと考えられます。フォントを埋め込まないPDFの方が一般的にはファイルサイズが小さくなるというメリットもあります。
履歴書にはJIS準拠と言っているものがありますが、私の調べた限りでは履歴書その物に対するJIS規格は無く、
JIS Z 8303「帳票の設計基準」の規程をみたし、かつこの規格に記載されている履歴書の様式例に従ったものをJIS準拠と言っていると思われます。
ただし、JIS Z 8303によればこの様式例は説明のためにあるもので,規定自体ではないと明記されています。
ちなみにJIS Z 8303はJSA Web Storeから有料(2,520円)
でダウンロードできます。なお、JIS規格の履歴書様式例は近年では1998年と2008年に改訂され、1998年では印鑑欄や家族欄の廃止、
2008年には保護者欄の廃止等がなされてきたようです。
上の表の履歴書を作成できるサイトでもJIS準拠といっているものがいくつかありますが、
JIS Z 8303様式例とまったく同一と言うわけではなく、色々変化を持たせているようです。
たとえば、学歴・職歴欄がやや長めのもの、資格免許欄が長めのもの、あるいは志望動機に
長文が書けるものなどがありますが、JISでは特に学歴・職歴欄の長さなどが規定されているわけでは
ありませんので、自分の必要に応じて適切なものを選べばよいでしょう。
なお、学歴・職歴欄は、履歴書ジェネレータ、しごとナビなどの24行、履歴書メーカーの資格欄と併せて30行など
を選べば長めの学歴・職歴が書けますし、資格欄はDomonetの10行、履歴書メーカーの学歴・職歴欄と併せて30行など
が長めです。また、志望動機などは履歴書ジェネレータの新JIS3では、フォントサイズや行送り幅を指定して
1000文字以上の文も書けますし、りれきしょ君履歴書作成でもかなりの長さの志望動機が書けます。
紙サイズについて
上記の表の履歴書作成サイトでは、様々な紙サイズの履歴書が出力できますが、基本的にはA4またはB5で2枚のもの
もしくはA3またはB4で1枚のもののどちらかです。PDFは印刷時に拡大または縮小して印刷できますので、
A3でもB4でも(あるいはA4でもB5でも)かわりは無いようにも思われますが、例えば履歴書ジェネレーターでは、
拡大縮小を無しで印刷すると、写真のエリアが正確に3X4cmのサイズになって印刷されるというような細かい点で違いがあります。
A4など2枚のものを選ぶかA3などの1枚のものどちらを選ぶかについては、
どちらを選んでも大差は無いとは思いますが、市販のものはほとんどA3またはB4の一枚のものであり、
2枚にすれば、一方を紛失するかもしれないことなどを考えると、
印刷が可能なら一枚のものの方がよいのではないかと思われます。
また、A系のものB系のものどちらがよいかというと、通常の会社では書類はA4を中心にA系のものを使っているところが
多いようなので、一般的にはA系のものを使う方がよいのではないかと思われます。
なお、紙サイズについては履歴書ジェネレータについてはA3X1,A4X2,B4X1,B5X2の
すべてをサポートしていて、他のものではそのうち一部だけをサポートしているようです。
写真貼付について
調査したうちのいくつかの履歴書作成サイトでは、画像を取り込んで写真貼付をした履歴書を作成することができます。
取り込むことのできる画像形式は、JPEGがほとんどで、サイトによってはPNG,GIF等の形式も読み込むことができるものがあります。
履歴書ジェネレーターを作成するとき、他のサイトの画像ファイルの読み込める最大ファイルサイズが
せいぜい数100KBだったので、もう少しファイルサイズが大きいものもサポートして、高精細で美しい写真を
貼付できるようにしようと考え、履歴書ジェネレーターでは10MBのサイズの画像ファイルまでサポートしていますが、
これは結果的にはあまり効果は無かったかもしれません。
プリンタの性能と印刷する紙質にもよるとは思いますが、少なくとも私がコンビニのプリンタなどで試した結果では、
高精細な画像を用意しても、プリンタでA4またはA3の普通紙に印刷するとあまり美しい画像が出力できませんでした。
ただ、PDFファイルそのものを送付する場合は、高精細な(ファイルサイズの大きい)画像を貼付すれば
送った先で写真を拡大してみても美しい画像が表示されることになると思います。
より美しい顔写真を印刷した履歴書に使用するには、少なくとも2012年時点では、ちゃんとした印画紙を使った通常の写真を
印刷した履歴書に貼り付けるか、写真印刷専用の用紙に写真出力可能なプリンタで画像を出力したものを
切り取って貼り付けるかした方が良いかもしれません。
なお、コンビニ等で画像ファイルから写真用用紙に画像を印刷するサービスが提供されていて、
これを使うとそこそこ高画質の顔写真が印刷できます。
禁則処理など
一般的に履歴書のデータ入力では、志望動機欄や自己PR欄など、通常一行に収まらない文を書くところがあります。
これらの欄に書き込まれた文は、実際の履歴書にレイアウトするとき、出力エリアの右端まで行ったところで行を
折り返して複数行に分割されます。
このとき、英単語(アルファベットからなる単語)の途中で改行すべき位置に来た場合、
単語全体を次の行に送るなどして、単語の途中で改行を入れて読みにくくなったりしないようにすることが
一般の英文では行われていて、これを
wordwrap
と呼んでいます。
また、日本語の文章の印刷の場合でも、行の先頭に句読点や閉じる括弧を持ってこないこと、
行末に開く括弧を持ってこないことなどが、文の読みやすさを確保するためになされていて、
これを禁則処理
と呼んでいます。
これらの処理は、通常文章を印刷するときの当然の処理で、
商業的な文書ではこの処理がなされないことはまずありませんし、
個人が作る文書でも禁則処理がなされていないものは、正しいものではないとされる可能性があります。
特に、履歴書などではこのような禁則処理がちゃんとなされていないと、場合によってはそれだけで
大きな悪印象を与え、採否に大きく関わることにもなりかねません。
ということで、これらの処理は、履歴書作成ツールに置いてもツール側でちゃんと処理すべきだと
思われますが、上記の表のとおり、意外にこの部分をサポートしていないツールも多く、
英文Wordwrapと日本語禁則処理を両方サポートしているのは履歴書ジェネレーターとDomoNet履歴書作成だけです。
自分で改行の位置を調整して禁則事項を避けレイアウトを整えるつもりのない人は上記どちらかを使った方が無難です。
なお、履歴書作成メーカー、むしょく.com履歴書作成のように、ツール側では自動改行せず、ユーザー側で改行の位置を
決めるようになっているシステムは、ツール側で禁則処理をサポートする必要はないですが、ユーザー側で禁則とならないよう
改行位置を決める必要があります。
学歴自動テンプレートについて
履歴書を書くとき、学歴を書くのは必須ですが、どこから書くべきかは、
- 小学校から書くべき
- 中学卒からが普通
- 高校からで良い
- 最終学歴のみで充分
などと諸説あって、
これが絶対に正しいというものは無さそうです。
いずれにせよ、いくつか過去に学んだ学校の入学卒業年次を記入する必要がありますが、
これを覚えている人はあまりいないはずで、早見表のようなものが手元に無ければ、
誕生日から逆算して計算しなければならないでしょう。
人間にとってはこのような計算はちょっと面倒ですが、コンピュータにとってはこのような計算は非常に簡単で、
誕生日さえ分かれば、一瞬で標準的な学校の入学卒業年次のリストを作成できます。
履歴書を作成するツールでは、人間の無駄な作業をへらし、間違いを無くすためにもこのような誕生日から逆算した標準的な学校の
入学卒業年次くらいは、自動表示したほうが良いと考えられますが、これをサポートしているのは履歴書ジェネレーター、
履歴書PDF作成メーカー、履歴書メーカーの3者のみです。
なお、履歴書ジェネレーターでは、中学卒から大学院博士課程修了まで、個人の学歴に合わせた入学卒業年次リストを
メニューから選択できるようになっていて、かつ、途中で休学や浪人、飛び級などをしたときの計算も自動で処理できます。
履歴書作成をサポートするツールなら、この学歴テンプレート自動生成や、誕生日からの年齢自動計算、
カレンダーからの作成日自動記入する機能はあってしかるべきだと思われます。
稼働環境など
環境として気がつくのは、HTMLとシンプルなJavaScriptで画面を作成しているサイトが多く、
最近のリッチなユーザーインターフェースを備えているサイトは少ないことです。
履歴書ジェネレーターではAdobe Flexを利用していて一応それなりなGUIをそなえていて、
りれきしょ君ではJqueryを使ってインタラクティブなインターフェースを提供していますが、
それ以外ではあまりユーザーインターフェースには力が注がれていないように思えます。
あとは、サーバサイドではほとんどのサイトでPHPが使用されていて、よく使われているといわれている
javaベースの環境を使っているところが無かったのはやや意外でした。履歴書作成はそれほど大規模な
アプリケーションというわけでは無いので、このくらいのサイズならPHPが適当ということなのでしょうか。
なお、履歴書ジェネレーターでは個人的な好みでRubyを使って開発していて、特にJavaやPHPやperlより
優れているからrubyを使ったというわけではありません。
また、PDF作成ツールとしては、PDFLibとiTextは以前から有名であり知っていたのですが、
FPDFというものがあり、これが意外に多く使われていました。
そのFPDFのサイトを確認してみましたが、シンプルなわかりやすいインターフェースで、
英文ワードラップなどの機能などはあらかじめ作りこまれている便利そうなもののようです。
ただ、おそらく日本語の禁則処理は実装されていないと思われ、実務的なソフトウエアを作るときは
問題になるかもしれません。この手のPDFライブラリで、日本語禁則処理を実装しているのは
PDFLibの最近のものだけであるように思われます。
なお、拙作履歴書ジェネレータについては、TeX版では表示の美しさにも気を配った高度な英文・和文の禁則処理が
もともと日本語LaTexに実装されており、PostScript版では基本的な英文・和文禁則処理をこのサイトのために
開発して組み込んであります。